場面を待つ

「手がけたもの」に「窓と気配」をUPしました。

これまでに写真家の金田幸三さんに撮影いただいた4つの建物(鶴舞の家、勝浦の家、一宮の家、勝浦の店)の中から、「気配」が捉えられた写真たちを新しくまとめてみました。

建築の全体像や形の構成を伝えるような堂々とした「建築写真」の範疇からは少し離れたところにいる、ささやかな場面を捉えた小さな写真たちだからこそ、建築が持っている固有の表情や気配をこれまでとは違った角度から静かに伝えることができるのではないか。

まだまだ手元には公開していないたくさんの写真があるので、今後も随時まとめてみたいと思います。

金田さんの新しいホームページ、こちらです。
https://www.kozokaneda.com/

 

湿度のこと

湿度の高い日陰に生きている植物たちに、なぜだかいつも惹きつけられます。湿り、翳り、暗がり、瑞々しさ。カラリとした陽の下の世界とはひと味違う、湿気まじりの心地よい空気感。

発掘

パソコンの中を見ていたら、勝浦の家の竣工真近に、自分で撮った写真を偶然発見。下手くそな写真ですが、内部の珪藻土の塗装が終わり、床の玉砂利洗い出しが完成した直後の現場に足を踏み入れた時の、自分の素直な感動が蘇りました。

瓦と階段

お寺の境内にて。蹴上とノンスリップと土留めを兼ねる、波のような模様をした瓦の小端立て。素朴な中にもどこかお寺らしい清らかさも感じさせるような、手づくりの工夫が目を惹きました。

草むらの中の古典

先日全然別の場所で見つけた小屋と、どこか似ているトタンの小屋。

同じ勾配の切妻の屋根、左右対称の立面、十字型の窓、浅い軒の出。こちらは前面の草むらが良い引き立て役になっていて、継ぎ接ぎのトタンも渋い味を出しています。

陽の気配

小金井にて楽しい打合せ。お昼ご飯やデザートまでいただいてしまい、ご馳走様でした。

今回は、大きめにつくった模型に、偶然なかなか良い自然光が射しました。この気配をなんとか実物でも。丁寧に、頑張ります。

素朴で単純なもの

繁茂する植物たちの上にニョキっと突き出した、換気のための腰屋根。

アルミサッシなどついていない吹きさらしの腰屋根は、「空気を通す」という素朴な機能だけに特化して、その他の機能をあっさりと「諦めて」いることで、すんなりと周囲の環境に馴染むことが出来ているように思います。

いくつもの便利さや、複雑な機能を建物に求めすぎないこと。本当に必要なものだけを素朴に空間化し、それ以上のことは諦めること。

川崎市役所へ。今月は仕事では緑豊かな場所ばかりに行っていたので、久々のモダンな大都会。次第に延びてきた日の影を踏みながら、少しでも涼しいところを。

田んぼの中の古典

7月の半ば、出張先、敷地近くで見つけた切妻の小屋。

正対称の立面、十字型の窓、素っ気なくあけられた穴のような出入口。外壁と屋根の色味の選択も素晴らしい。

どことなく建築家アルド・ロッシのドローイングを思わせるような簡素な古典主義的構成と、田んぼの海に浮かぶ静謐で不思議な存在感が、こちらの目を惹きつけます。

台風のあと

どこかマグリッドの『光の帝国』という絵にも似た、絵の具で塗られたような夕方の空。

風景の解像度

静かな集落の中の小さな小さな用水路のまわりに集まる、多種多様な植物たち。

この1枚の写真の中に、いったい何種類の植物がいるのだろう。見慣れた風景を高い解像度で見て、理解することができるだけの知識と経験を、身につけたいのです。

雲の気配

ゆっくりと空を覆う夏の雲。

暗がりと明るさの濃淡と、静かに変化する気配と質感。雲の表情の一瞬一瞬の中にある、凡庸でありふれた、しかし他の何よりも鮮やかな景色。見ていて飽きることがないです。

人のつくる空間も、できればそんな鮮やかな凡庸さと瑞々しい気配とを兼ね備えたものでありたいなと、いつも思います。

陽の仕事

たまたま古本屋で手に取った詩集。あまりに素晴らしかったので。

学生時代にリチャード・ブローティガンという作家の詩の虜になって以来、古本屋で時たま買いためてきた詩集たち。石垣りん、中野重治、レイモンド・カーヴァ―、高田敏子、八代信、長田弘、茨木のり子、、、それから、大好きな山之口貘。ふと気づけば、本棚の中にじわじわと古い詩集たちが増殖しています。

古本屋でふとした瞬間に見かける詩集たちは、知らない街で出会う名もない建物たちに、どこか似ている気がします。

コンクリートの庭

通りかかった団地の庭にて。

転用され反復されたコンクリートと小さな緑地と、その中にまだ残っている人の手の痕跡。そして、どこかちょっとユーモラスな風情も感じさせます。

街の足元で、創意し、工夫を凝らすこと。

川に沿って

新しい案件の打合せで自転車にて小金井へ。自宅から神田川に沿って上流まで約40分、そこから玉川上水に沿って30分程の、川沿いの道中をふらふらと。

日頃から自転車で東京を右往左往していると、川沿いの道は信号が無く、木影と風が涼しく、走りやすくて、快適な自然の高速道路のように感じます。

長生村、役場近く

書類提出のため、長生村、村役場へ。

蜃気楼が見えそうな暑さの中、八積駅から村役場まで往復40分程の道中を歩く。すれ違ったのは草刈りをする農家の方が2名ほど。他に出会うのは見渡す限りの田んぼと林と点在する家。房総の平野の風景。

重心は低く

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のカフェスペース。

鮮やかなブルーの床面と天童木工の家具の色合いとが調和し、居心地の良いしっとりとした空間がつくられていました。開口部まわりのガラスブロックの使われ方も印象的。窓際は天井がぐっと下げられて、外に向かう視線の重心が落とされ、そのこともまた空間に落ち着きと静けさを与えていたように思います。

美術館の内部では、他の場所でも下がり壁や腰壁によって、絶妙に人の重心や視線の行き先がコントロールされていて、そのような丁寧な設えの積み重ねによって、美術館全体の凛とした抑制された雰囲気が生み出されているように感じました。

整理すること

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。街中のアーケードが建物の中に引き込まれたかのような気持ちの良い半屋外空間。余分なものが取り除かれた美しい光と壁。

既存の環境やものごとの成り立ち方を解釈し、削ぎ落し、整理していくことで生まれる空間のあり方について考えさせられました。

2つの窓

とある街角で見かけた木製の素朴な両開き窓。

ここだけ切り取ると、日本の風景ではないような雰囲気。庇の形状が面白い。壁への窓の「埋め込まれ感」も良い味を出しているように思います。