縁側のうえの小さな道。
ふらふらと曲がりながら、なんとかまっすぐ進もうとする、木目の流れ。
建物をつくるひとつひとつの部分や要素が「生きている」感じ。
その感じの、なんとも言えない、良さ。
それを足に触れて確かめたときの、遠い大地の感覚。
縁側のうえの小さな道。
ふらふらと曲がりながら、なんとかまっすぐ進もうとする、木目の流れ。
建物をつくるひとつひとつの部分や要素が「生きている」感じ。
その感じの、なんとも言えない、良さ。
それを足に触れて確かめたときの、遠い大地の感覚。
雨の1日。
出先から事務所に戻ってきて、2階への外階段をあがったところで、突然の晴れ間。
木々のむこうに、道が眩しい。
緑したたる道。
山と山の谷間。湿った草むらのなか。
この季節は、こんな何でもない場所にも、
水の気配が溢れていて、確かな生命力が宿っている。
ながい年月を経て、すまう人によって磨きこまれ、艶を増した古い家などには、
どこかこれと同じような湿り気を帯びた生命力のようなものが、
空間のなかに静かに息づいているように感じることがあります。
新しい、まっさらなもののなかにはない、何か。
仕事の合間に、自分の仕事を紹介する事務所案内を兼ねた
小さな冊子の制作をちょこちょこと進めています。まだ試案段階。
普通の封筒に入って、お店にも置いてもらえる大きさで、
手のひらに乗る小さなサイズで、だれにでも気軽に渡せて、
どこにでも簡単に配達できて、気張った感じがなくて、
素朴な紙の質感をもったもの。
多少なりとも、誰かの手の跡が残っているもの。
平凡でちょっとだけ普通でないもの。
そんな冊子(と封筒)がつくれたら良いなあと思い、
のろのろとですが試行錯誤中です。
完成したら、いろいろな方にしれっとお渡ししてみたい。
水のうえに溢れる午前の光。小さな橋。
まっすぐにたつ木々のなかに、ただひとり斜めに伸びるイヌシデの木。
カバノキ科クマシデ属の落葉高木。
するりと鋭角で、かっこいい幹の質感。
硬質な存在感のある佇まいに思わず惹かれて、そっと幹に触れてみると、
どこか陶器のような、ひんやりとした肌触りでした。
切り立った斜面のうえの、あざやかな真昼。