小川

山と山の谷間。湿った草むらのなか。

この季節は、こんな何でもない場所にも、
水の気配が溢れていて、確かな生命力が宿っている。

ながい年月を経て、すまう人によって磨きこまれ、艶を増した古い家などには、
どこかこれと同じような湿り気を帯びた生命力のようなものが、
空間のなかに静かに息づいているように感じることがあります。

新しい、まっさらなもののなかにはない、何か。