冬の座り

夜明け前、ざあざあと天幕を打つ音はてっきり雨だと思っていたけれど、いざ外に這い出してみると、黒い雨具の表面を真っ白い雹がぱらぱらと滑っていった。

テントをたたんで山頂を越えて、それから北側の森に入ると、その雹はさらさらとした質感に変わり、しばらくするとしっとりと柔らかな雪になって、沢沿いの道の滝のところにさしかかるころにはあたりは一面の真っ白な雪景色になっていた。

きのうの昼間はあんなにも暖かく晴れていたというのに、冬はもう、その森の小径のところまで歩いてきてしまっていて、なに食わぬ顔をして静かに山に座っていた。