影 2022年11月5日 朝。さっきから目の端でちらちら動くものがあるなあと思って、斜面の下をまじまじと見た。むっくりとした黒い塊が、のそのそと斜面を移動していく。。 よく見るとそれは自分の影で、そのことになんだか不意をつかれた感じがした。なんとも冴えない感じのその影は、これからのろのろと稜線に沿って歩いていくところのようだった。登山者のひとたちはまだこのあたりに登ってくる前で、おだやかな風以外には動くものはなんにもなかった。