あるひとが自分の手で建てた、小さな木の小屋。
特別に飾りたてなくとも隅々に溢れる、やわらかく、凛とした空気感。
ものをつくる人の手の気配だけが醸し出すもの。
少しでも、近づいていくことができたら良いなと思います。
あるひとが自分の手で建てた、小さな木の小屋。
特別に飾りたてなくとも隅々に溢れる、やわらかく、凛とした空気感。
ものをつくる人の手の気配だけが醸し出すもの。
少しでも、近づいていくことができたら良いなと思います。
かたくりの花の群生。5月の津南にて。
かたくりは、種から花になるまでに7~8年程の年月を必要とするのだという。
長い時間を、土のなかで、土のうえで、じっとやり過ごし、
花を咲かせるときを、待つ。静かな土地の、静かな花。
土のうえ。雪解けの水たち。
ゆっくりとした流れと、澄んだ蒼い光。
ある5月の休日、
なだらかな山のなかで出会った、梨の花。
目立たない、地味な、凡庸な、素朴なものの中の、
その底のほうにある普遍的な美しさ。
いつか読んだ同名の小説に胸を衝かれてから、
その佇まいにずっと憧れている木です。
「ものづくりってのは、こだわりのことだ。」
小さなうなぎ屋さんで、
あるひとが日本酒に酔いながら、言ったことば。
カウンターの向こうでは、
大将が、生きた鰻を黙々とさばく。
その手つきの美しさ。潔さ。
まな板のうえの、透きとおった、赤。
心の底から湧いてくる本当のこだわりは、
言葉で説明することは難しく、
だからこそ、そのこだわりを誰かに伝えるために、
ひとはものをつくるのではないか。
言葉にならないこだわりを、もちつづけること。
理由のないこだわりを、黙々と手に写しつづけること。
自分が目指したいのは、そんなものづくりなのだと
ひしひしと感じた、静かな春の夜でした。
「はじめに」のページを少しだけ更新しました。
いまここで自分が見ているものではなくて、
遠ざかったいつかの日に誰かが見たもの、
いまここにある自分だけの瞬間ではなくて、
いろいろな人の記憶が積み重ねられてきた長い時間、
そんなことに想いを馳せることができる建物を、つくりたいです。
新潟、津南町。
小高い山のなか。
すっくと立つ「見倉の大栃」の木。
よく晴れた5月12日。昨年につづいて、
今年もまた、この季節に会えました。
大地に根ざしたおおらかなその姿に、
心のなかで「ありがとう」と呼びかけました。