「ものづくりってのは、こだわりのことだ。」
小さなうなぎ屋さんで、
あるひとが日本酒に酔いながら、言ったことば。
カウンターの向こうでは、
大将が、生きた鰻を黙々とさばく。
その手つきの美しさ。潔さ。
まな板のうえの、透きとおった、赤。
心の底から湧いてくる本当のこだわりは、
言葉で説明することは難しく、
だからこそ、そのこだわりを誰かに伝えるために、
ひとはものをつくるのではないか。
言葉にならないこだわりを、もちつづけること。
理由のないこだわりを、黙々と手に写しつづけること。
自分が目指したいのは、そんなものづくりなのだと
ひしひしと感じた、静かな春の夜でした。