津南町

少し前、新潟県津南町に伺って、学生時代にお世話になった方と本当に久しぶりに再会し、4軒しか家のない山深い集落にほぼ自力で建てたという小さな小屋に泊まらせていただきました。

もう15年以上も前から「いつか必ず自分の手で建てるんだ」と仰っていた、地元の木材だけを使った、電気も水道も通っていない手づくりの小屋。

その簡素な「巣」のような佇まいからは、春の美しさも冬の厳しさも全て等しく受け入れ、自然に抗うことを諦めた末の、どこかほのぼのとした気楽さが漂っているような気がして、それはこの地域の集落の古い家たちにも共通する自然に対する構え方であるようにも感じました。

ずいぶん昔、その人に言われた「お前は大工になれ」という言葉。それが自分が手描きの図面や木造の建物に拘る理由のひとつになっている気がしていて、そんな原点を再確認する貴重な機会をいただきました。