小さな谷のひかり

去年の冬。ふらふらと歩いた山の帰り道。麓近く。
暗い杉林の谷間から降ってきたひとすじの光が、たったひとりで細々と立つ小さな電柱の足元をひっそりと照らしていて、あたりはしーんと鎮まっていた。おぼろげな記憶の中の、些細な一瞬。