わからない

わからないものは、わからないままでいい。わからないものを、わかったふりをして、わかったことにしてしまうことは、できるだけ避けたい。わからないものを、わからないままで「なんだか全然わからないけれど凄い!」と言えるままでいたい。

深夜。ある古いSFの短編を久々に読んだ。10年ぶりくらいに読んだ。

それは今の自分にも相変わらず全くよくわからないままであり、そして全くよくわからないくせにやっぱり震えがくるほど素晴らしかった。10年前とほとんど同じように、頭のなかに意味不明の電気的な稲妻のようなものが浮かんで消えた。目の前を言葉が疾走して、ホワイトアウトした砂浜の上で、はじけ飛んだ。なんだか少しホッとした。

わからないものは、わからないままでいいし、できることなら、わからないままでいたい。