町家の井戸

以前行った、ある古い町家の片隅。
深い光の井戸の底にゴロンと置かれた象徴的な木の桶。

小さなひとつの住居とそこでの生活が、それを取り巻く都市や街の時空の中にどのように埋め込まれたものであったのかを示唆するような、目に見えない空想の力に溢れた場所だった。

この住居に暮らした人が、どのように自分を取り巻く世界と対峙していたのかということが、住居そのものの空間的な構えにあられているような感じがした。