壁と木

もしも壁に感情があるとしたら、自分の目の前にたっている木の姿を明るい光の中でまるごと全部うけとめたときの気分はどんなだろう。もしも木に感情があるとしたら、思わず自分の姿を映してみたくなる壁はどんな壁だろう。ただの壁とただの木が、よく晴れたきれいな冬の午後の時間に、静かに並んで立っていた。