朝の枝

机の前にすわって、朝のひかりを感じる。窓の外では、何年も前からゆっくりと育ってきたユキヤナギが、自分と同じように暖かい朝日をあびて佇んでいる。スズメの声、羽の音、少しの風。

最初はおぼろげに見えているだけだったユキヤナギの枝が、こちらが珈琲を飲み終える頃にはぼんやりと、それから次第にくっきりと、ざらついたガラスのうえに浮かんでくる。その様子を茫々とながめているうちに、今日もいつもの一日がいつの間にか、ひっそりとはじまっていく。

あの枝のような線を描けたら、なにかが生きている鼓動をかすかにでも伝えることのできる線を描けたら、きっと素晴らしいだろうなあと思った。