季節

先月の暮れ。
風のない穏やかな一日。

午後、山裾でぼんやりとひとり腰かけていると、
目の前を通りすぎたひとが「春だ!」と声をあげながら、両手を伸ばし、
ルンルンとした背中で山の中へと歩き去っていった。