近くの公園を通りぬけていくとき、行く手に白いひかりが見えた。
ひかりはふわふわとゆれて、道のうえを舞っていた。
傍らの斜面ではおじさんが小さな機械で植栽の手入れかなんかをして、その機械がたてる土埃が、ひかりに色と形をあたえているのかもしれなかった。
なぜだか分からないけれど、いま、どうしてもこれを記録しておきたいと思って、ザックの中をがさごそとやって、カメラを探した。その間もひかりはふわふわと舞いながら、音もなく流れていく。
ようやくカメラをとりだしてそれを向けた時には、ひかりはもう薄れはじめていて、数秒後にはどこか見えないところへ消えていった。ひかりが舞っていた場所は空っぽで、もう何も存在していないように見えた。
それから何事もなかったかのように、その場所の上を自転車にのったひとが通りすぎた。ブーンという機械の音が静かな午後の公園に響いていて、遠くのほうで誰かの笑い声がした。