いつだったか、最近のことではあるが、ラーメン屋さんのことを考えた日があった。自分がたまに行くラーメン屋さんの中に、たった1種類のラーメンの味だけを突き詰めている店があって、その店のひとのことをおぼろげに考えた日があった。
たったひとつのメニュー、たった1種類のラーメンの味を研究し、微調整をくりかえし、磨きあげ、つくりつづけることの中に、そのひとの生活があるということ。
あるいは、たったひとつの事を目指し、思い、つづけ、成し遂げ、きわめる、ということの中に、そのひとの人生があるということ。
たったひとつの事をやり続け、そのつくりかたを試行錯誤し、その先にあるたったひとつの味に思いを馳せ続けることのできるラーメン屋さんは、こころの奥が静かなひとでもあるのだろうか。。時にその静けさがスープの中に写しだされているかのように思えるのは、気のせいだろうか。。
などということを、なぜだかその日は考えた。たったひとつの事をつづけるということの尊さを思った。それはどんな表現でもどんな仕事でも、あるいはきっと建築でも、同じだろう。つづけること。ラーメン屋さんのように、ひとつのものを見上げて、つづけること。