輪郭をなぞる

鍵や丁番のような金物、
あるいはアルミサッシやシャッター。

そういった精巧な技術の集積によって出来上がった既製品の、
その図面を自分の手でなぞっていくと、
それらの構造や仕組みが少しずつ理解できてくる感じがする。

見えないところでそうした既製品を支えている小さな技術や知恵が
気のせいかぼんやりと見えてくるような気がして、
そうした技術を練りあげたひと、それを形にした見ず知らずのひとの姿が、
おぼろげに脳裏に浮かんでくる。そのひとたちに対する敬意を覚える。

目の前にあるモノの輪郭をなぞることは、
それをつくった名も知らない誰かの姿を辿っていくことに
どこかで繋がっているのではないかと思う。