密度と色のこと

線を描いて、寸法を書き込み、文字を入れる。
そのあと線で囲われた白い部分をハッチングする。

自分の手描きは誰に教えてもらった訳でもなく、
勝手にはじめた完全に我流なものであるから、
ハッチングの種類はいつだって試行錯誤を繰り返している。

ハッチングのグレーの色の濃さが線の密度で決まるというのは、
きわめて平凡で当たり前のことなのだけれど、
色の濃さと線の密度の関係をこれほど深く考える瞬間というのも
よく考えてみると、普段の生活の中ではなかなか無い。

だからハッチングを繰り返し描いてから、ふと周囲を見渡すと、
いつものモノがちょっとだけ変わって見える。
モノの色が線の密度に変換されて見えるような気がしてくる。
ひとの視覚というものの不思議を感じる。