風の空想

自分にとって、山や森や雑木林を歩く楽しみのなかで、もっとも大きな部分を占めているもののひとつは「風」かもしれない。

風の音に耳をそばだてながら、風が揺らしていくものたちをぼーっと眺めていると、山を歩くことは風の跡を辿ることに等しい、などというおかしな考えが頭をかすめていきそうになることだって、たまにはある。

その風はどこから吹いてきて、どこへ向かうのか。その風はどのくらいむかしの風なのか。それが運んでいるものは何なのか。風をめぐる空想はいつだって尽きることがなくて、楽しい。