風が吹く日

「風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは
虔十はもううれしくてうれしくてひとりでに笑へて仕方ないのを、
無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながら
いつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立ってゐるのでした。」

宮沢賢治の短編『虔十公園林』の中の、好きな一節。
今日みたいに良く晴れて風が強い日には、森は良いだろうなあ、と机の前でぼんやり思う。