雪解けの音

お昼の太陽に照らされて、森の上からぽたぽたと水滴が落ちてくる。
鳥が鳴いていないから、水滴が雪を打つ音がとてもよく聞こえる。

雪の道がすこしずつゆるんで、そうして春になっていくときの音は、たとえばこんな音なのだろうか。動物たちや植物たちは、冬の終わりにこんな音を聞いて、山の春を予感していたりもするんだろうか。

麓へおりていく広々とした谷すじでは、たくさんの小さな雪解けの水がつぎつぎに合流して、太い流れになっていた。にぎやかな水の音につつまれた明るい沢の斜面には、山桜があちこちに咲いていた。