雨上がりの道

この木はあの小屋の裏山の木に似ているな。この色はあの森の色にそっくりだな。この土の感触はあの橋のところのくだり坂みたいだな。立ちどまる。森の中の音がぴたりとやむ。忘れることのできない遠くの森の気配がする。ひとけのない雨上がりの道の先のほうを茫々とながめる。それからまた足元をみて歩く。靴の中の爪先になんとなく意識を傾ける。木陰からこっちを見ている鹿がいた。