輪っか

いつかのお寺の庭のやわらかい痕跡。
きっと今日も明日も黙々と誰かの手がこの小石たちをはき清めているのだろうな、と思う。そのひとの手の動きを、そっと想像してみる。繰り返し繰り返し動かされる手の軌跡。その手に伝わってくる感触。かすかな陰影。小石たちがぶつかりあう小さな音。
たぶんそのひとの手のひらにしか訪れない、ひっそりと静かな時間を思う。