誰かの朝

片足を春の海につっこんだような朝。
川沿いの道のロウバイの花は盛りを過ぎ、冬に大きく枝を落とされていたウメの木は無事に白い花をつけて、咲いたばかりの河津桜の花の蜜を2羽のメジロが半分夢の中にいるような表情で美味しそうに頬張っていた。池のほとりでは真っ黒なカラスがひとり、地面の落ち葉をクチバシの先で懸命にかきわけて、土の中に隠した何かを探していた。すぐそこの茶色い地面のうえをツグミが早足で駆けていった。