西瓜糖の日々

あるお店にこの夏入ってきたスイカはいつもの年よりも大きくて、1玉で13kgくらいの重みがあるのだとか。ひとがひとり、テントと水と食料を背負って3日ほど山を歩く時に背負うザックの重量がだいたいそのくらいだから、ひとが3日生きることの重みは1玉のスイカのそれと同じだと言えるのかもしれない。

「ひとの3日間は1玉のスイカにも若かない。」

灼熱の坂道をゆっくりと自転車でくだって小屋へと向かい、今日こそはヤモリを驚かせないようにしなければと手のひらで何度かシャッターをノックしてから、そろりそろりとそれをあけると、むせかえるような夏が小屋の中からあふれだした。