綿毛

見上げているのは、目の前のそれじゃない。
見えているそれじゃない。

透明な紙の線の上に知らず知らず膨らんでしまった期待と意識をパチンと弾いて、なんとなく遠くのほうに投げてみる。どこからか風が吹いて、ふわふわと遠くの霧のむこうまで飛ばされていくと良い。