笹の尾根

目の端でなにかが揺れて、ちっちゃな影が額のあたりをちりりちりりと動く。
変わり映えのないなだらかな尾根道の、あれはいったいどのあたりだったっけ。ちりりちりりと揺らいでいるものの隙間から、小さなシジュウカラが懸命に枝を蹴って飛んでいく。なんてことのない山頂からまた次のありふれた山頂へ、揺れずに立っているものと、揺れながら光っているものの間を、ただ淡々とまっすぐに道が縫っていて、乾いた笹の葉がじんわりと太陽に焼かれていた。