水と道

「水は争わずにただ流れ、人が見放した場所を流れていく。だから水は道に似ている。」

いま読んでいる本にそんな言葉があった。老子の言葉なのだとか。
囂々と速く流れていく水の音には諦念にも似たさっぱりとした清々しさがあり、ゆるやかに流されていく水の音にはかすかな物悲しさのようなものが貼りついていることもある。それは水が、見放された場所をくだっていくからなのかもしれない。「だから水は道に似ている。」