樹皮のざわめき

冬になって葉の落ちた森を歩くと、木の樹皮の文様の、白っぽいところと黒っぽいとことろ、滑らかなところとザラザラとしたところの陰影が視界のなかで重なりあって、不思議なざわめきを感じることがある。

風がどこか遠くのほうから見えない音を運んでくるように、ざわざわとした確かな手触りを持った樹木の群れの感触がこちらにざーっと飛びこんできて、自分の意識の内側の何かを小さくゆする。