庭のレイヤー

京都、重森三玲庭園美術館の庭。

雨によって削られた石、水を含んで次第に鮮やかに色づく苔、剪定されながら太陽に向かって伸びようとする松、曲線を描くように優しく撒かれた水。

庭をつくった人、庭を伝えた人、庭を守る人。そうした見えない人の手が積み重なって生まれる時間のレイヤーと、天候や季節によって刻々と表情を変える石や植物たちのシンプルで複層的な佇まい。

素晴しい庭は、その造形的な美しさだけではなく、人の自然に対する謙虚さと、ものをつくり伝える強い意思とが相まって、はじめて形づくられるものであるようにも感じました。