峠の小屋

「山の上でこんな話ができるなんて、うれしいなあ。」

年の瀬のよく晴れた日の午後。たまたま少しの間立ち寄っただけなのに、自分のへたくそな話にそんなふうに言っていただき、とってもうれしかったです。それにやっぱりその峠の小屋のひとたちは、おふたりとも自分の家や自分の小屋を自分の手でたてたひとたちで、そのことにもすーっと静かな感動を覚えながら古い木のテーブルの前に座っていました。

にこにこと笑顔で話をしてくださる小屋のひとたちのうしろには、そのひとたちとは直接のつながりはないかもしれないたくさんのひとの姿が、小さな窓から差し込む光に透けるようにしてぼんやりと見えているような感じがしました。

えんぴつの木を彫った手づくりのふくろう、大事にします。ご主人の顔はどことなくそのふくろうに似ていました。