ひかりを写すひと

見るたびに「ああ。このひとはきっと光を見ているひとなんだなあ。光だけを見ていたいひとなんだなあ。」と思う写真がある。ただそのことだけが自分に伝わってくる。どの写真もさーっと澄んでいて、静かな眩しさがある。いつまでも見ていることが出来そうに思う。

影がないと光は写らない、光は影によってかたちを得るものだとばかり思っていたのだが、その写真では影は光の背後に消えている。写真の明度自体は高いわけではないから、勿論ちゃんと影は写っている。でもその写真の中では、影によって光がかたちを与えられているのではなく、それを撮るひとの視線はまっすぐに光のほうだけを向いている。カメラの後ろにいるひとは影の中から澄んだ光だけを見あげて、そっちに向かっていこうとする。

まるで植物のようだなと思う。